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生成AIを「読者」として活かすプロンプト

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執筆プロセスをDESCで考えています。 もはや、元のアサーションからハズれてますけどね。 コロコロ転がしていると面白い。

今回は生成AIのプロンプトに絡めてみました。

思考の発生

DESCは乳児期の体験に基盤があるんじゃないかと思いました。

赤ん坊は「刺激→反応」の世界を生きています。 環世界は刺激に満ち、外からも内からも情報が流れ込んでくる。 でも、身体がまだ発達していないために、うまく対処できない。 反応といっても、泣いたり苛立ったりするくらいしかできません。

養育者はそこに声掛けをしてケアを行います。 そのときの声掛けにスキナーがいうところの「タクト/マンド」があります。

タクトとは「お腹がすいた?」「眠たくなったね」といった、刺激に対する解釈です。 contactの省略形なので「タクト」。 このタクトによって情動の調律が行われます。

「刺激」は漠然とした脅威ではなく、ただの「空腹」や「眠気」として認識される。 もちろん、赤ん坊は言葉がわかるわけじゃないけど、その言葉に含まれる情緒は感じとります。 養育者の声掛けに「大丈夫」という安心感が含まれている。

マンドは「ミルク飲もうか」「お布団に入ろう」といった提案です。 commandに由来します。 マンドによって赤ん坊の中に「欲望」が形成されます。 というか、スキナーの用語を使ってますが、この図式自体はラカンの「欲望のグラフ」の言い換えです。

マンドによって「未来」を先取りし、その「未来」が養育者から赤ん坊に伝わることで「幻想」を生む。 実際に満たされる前に、気持ちとして満足がやってくる。

この声掛けを内在化することで赤ん坊に「刺激→タクト→マンド→反応」の迂回プロセスが形成されます。 それが「思考」となる。

これを「事実→感想→提案→行動選択」と言い換えると、ほらDESCじゃないですか。

読者の機能

思考によって、自分の情動を調律し、欲望をイメージする。 すぐ反応するのではなく、よく吟味してから行動を選択するようになります。 それが「思考」ですよね。

「書くこと」はこの思考の延長にあります。 刺激を受けても、文章を書いている間は行動に移りません。 というか、「書くこと」自体が行動です。 現実において行動するまでの遅延を「書くこと」は担っている。 思考をさらに深めるものになっています。

そう考えると、思考における「養育者」が、執筆における「読者」に当たります。 「読者」を内在化することで執筆プロセスが育っていく。

すると「読者」にもタクトとマンドの機能がありそうです。

読者のタクトは「それはどういうことか」という明確化になります。 不明瞭な点を指摘し、書き手がそれに対しどう感じ、どう思っているかを尋ねてくる。 論の飛躍や書き手の思い込みがあるところ、そこと直面することが突破口ですね。

書き手としては批判された感じがして嫌に思うこともあるけれど、実際はそこと向き合うことで新しい発想が生まれ、自分でピタッとくるような表現と出会うことができる。 それが適切なタクトだろうと思います。

読者のマンドは「どうなるといいのか」という問いかけです。 「それで?」と話を先に進めようとしてくる。 タクトは深掘りですが、マンドは展開ですね。 パラディグマとシンタグマの違いみたいなものか。

言い換えると、タクトが「今ここ」の話だとすると、マンドは「未来」です。 事実と当為、「そうであること」と「あるべきこと」。 この二つにはズレがあります。 そのズレを埋めようとするのが「行動」。

問題解決で考えると、そういう構造になりますね。

だからマンドは「目標の設定」でもある。 価値観が入ってくる段階です。

生成AI

さて、生成AIにタクトとマンドは可能だろうか。 「読者」としてどう活用するか。 ということで、ObsidianのCopilotに尋ねてみました。

まず、ベタなのを考えてみます。


Q:あなたは「知りたがりの高校生」です。{activeNote}についてもっと知りたいことはありますか。

A:このノート、すごく面白いですね! いくつか疑問が湧いてきました。

  1. ラカンとスキナーの理論との関連性について、もっと具体的に知りたいです。ノートでは「ラカンの『欲望のグラフ』の言い換え」や「スキナーの用語」と簡単に触れられていますが、具体的にどのような点が対応しているのか、図解などがあると分かりやすいと思います。 例えば、「マンド」が「欲望のグラフ」のどの部分に対応するのか、具体例を挙げて説明してもらえると嬉しいです。

  2. 「読者」を内在化することの意味が、もう少し詳しく知りたいです。「読者」を内在化することで執筆プロセスが育つ、と書かれていますが、それが具体的にどのようなプロセスなのか、例を挙げて説明してもらえると嬉しいです。 例えば、自分が読者だったらどう感じるか、という視点で考えてみるのも良いかもしれません。

  3. 生成AIに「タクト」と「マンド」の機能を持たせるための具体的なプロンプト例が知りたいです。ノートの最後に「ベタなのを考えてみます」とありますが、どんなプロンプトを考えているのか、もしくはどんなプロンプトを考えれば良いのか、具体的なアイデアを聞きたいです。 例えば、「タクト」のプロンプトは、文章の曖昧な点を指摘するようなものになるのでしょうか? 「マンド」のプロンプトは、文章の結論を促すようなものになるのでしょうか? 色々なパターンを考えてみたいです。

  4. DESCモデルと、他の思考モデルとの比較について知りたいです。 DESCモデルは、他の思考モデル(例えば、PDCAサイクルなど)と比べて、どのような特徴や利点があるのでしょうか? 比較することで、DESCモデルの理解が深まると思います。

  5. アサーションからハズれてますけどね」の部分が気になります。当初のアサーションとはどのようなものでしたか? そして、どのように「コロコロ転がっている」のでしょうか? この部分の経緯や詳細を知りたいです。


なかなか良い回答が返ってきました。 まず、褒めてくれているのがいい。 そうなんですよ、褒められると伸びるタイプなんです、私。

とはいえ、ピタッときた質問は「3. 生成AIに「タクト」と「マンド」の機能を持たせるための具体的なプロンプト例が知りたいです」くらいかな。 他はこれまで書いてきたことだから、繰り返しになるし。

でも取れ高として、一つでも有効なのが出てくると嬉しいですね。 実際「プロンプトの具体例」こそ、この文章の後に続くべき論点です。

では続けて、質問には質問で返せ:


Q:「タクト」や「マンド」の機能を持たせるプロンプトについて、具体的な提案はありますか。

A:生成AIに「タクト」と「マンド」の機能を持たせるプロンプトは、まだ試行錯誤の段階ですが、いくつかアイデアを提案してみます。 あくまで提案なので、実際に試してみて効果を検証する必要があります。

タクト(明確化)のプロンプト例:

  • 曖昧な表現の指摘:「この文章の中で、最も曖昧で、読者に誤解を与えかねない箇所を3箇所指摘し、その理由を説明してください。」
  • 論理の飛躍の指摘:「この文章の論理展開において、飛躍している箇所があれば指摘し、その理由を説明してください。 また、どのように修正すれば論理的な流れになるか、具体的な提案もお願いします。」
  • 前提条件の確認:「この文章の前提条件として、暗黙的に仮定されている事項を3つ挙げ、それらが妥当かどうかを検証してください。」
  • 感情の分析:「この文章を書いた著者の感情を分析し、文章のどの部分でどのような感情が表れているかを具体的に説明してください。」

マンド(展開・提案)のプロンプト例:

  • 結論の提示:「この文章の結論を簡潔に提示してください。 また、その結論に至るまでの論理的な根拠を要約してください。」
  • 次の展開の提案:「この文章の次の展開として、考えられる3つのシナリオを提案してください。 それぞれのシナリオについて、その可能性と課題を簡潔に説明してください。」
  • 問題解決の提案:「この文章で提示されている問題に対して、具体的な解決策を3つ提案してください。 それぞれの解決策について、その実現可能性とメリット・デメリットを説明してください。」
  • 異なる視点からの考察:「この文章を、異なる視点(例えば、反対の立場や、別の専門分野の視点)から考察し、新たな知見や解釈を提示してください。」
  • 目標設定の提案:「この文章の最終的な目標は何だと考えられますか? その目標を達成するために、具体的なステップを3つ提案してください。」

よくわかってるなあ。

これらのプロンプトは「読者」として望ましいところを突いていますね。 有能な編集長かコンサルか。 参考になるから、全文載せちゃいました。

まとめ

Obsidian - Connected Notes 1.7.7
分類: 仕事効率化,辞書/辞典/その他
価格: 無料 (Dynalist Inc.)

プロンプトを考えるんじゃなくて「どういうプロンプトがいいか教えて」と尋ねるのが、AI時代の定石かもしれない。 メタ・プロンプトだわ。


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