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Obsidianでモードレスに書いていく

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モードレス・ライティングを最近考えています。

モードレス

プログラミングを書くときの「モードレス」。 ユーザがアプリを使うとき、アプリ自体が空気のような存在になることを考えています。 ユーザインターフェースが「自然」となって、意識させない。 そうなるようなデザインのあり方。

これを「書くこと」に応用できるだろうか。

モードレスに書くとはどういうことか。 それには先に「モーダル」を考えた方がわかりやすいかもしれません。 WordやExcelのようにメニューがたくさん並んでいて、そこから「やりたいこと」を選択するインターフェースですね。 メニューから選ぶと専用のダイアログボックスが現れ、そこで設定を変更し実行する。 よく見かけるデザイン。 パソコンのソフトってそういう感じで作ってあります。

これをライティングに落とし込むと、メニューが階層化されている、つまり目次のツリー構造があるタイプが思いつきます。 マニュアルなんかがそうかな。 受験の参考書もそう。 段階を踏んで概念を学習し、最終的に何らかのスキルを習得する。 知らない分野の入門書として、モーダルな書き方がよく用いられている。

それに対してモードレスは「どこから読んでもいい」という特徴を持つ。 『モードレスデザイン』にそう書いてあるし、実際そう書かれています。

上野さんの文体は舞踏会のようです。 たとえば「インターフェース」というテーマが始まると「境界」という概念が登場し、その概念がほかの概念と踊り出す。 この概念のペアが次々と入れ替わりながらダンスをし、そのダンスに見とれているうちに次のテーマに移っていく。 これが面白いんだなあ。 思いつきがコラージュされている。

体系的なんだけど、それを意識させない。 上野さんの考え方を追体験するうちに「デザイナーとはこう考えるものなのか」を肌で感じるようになります。

だからなのか「全体としてどういう構成になっているか」と考えると、うまく要約できません。 読み終えて「なんだったのか」と考えると言葉にならない。 生成AI泣かせじゃないだろうか。 自由連想で描かれている。

この感じが「モードレス・ライティング」だろうと思います。

迷路と迷宮

これは、個人的に昔から考えてきた「迷路と迷宮」に重なります。

迷路というのは、複雑な世界を効率良く出口に行き着くためのノウハウです。 複雑な部分を「面倒」として避け、できるだけ最短距離で「わかった」にたどり着く文章。 コスパやタイパを優先。 それは入門書に求められるものであり、モーダルです。

迷宮は反対に、複雑な世界を複雑なまま楽しむことを目的にしています。 歩きながら、宝箱があれば開けてみて、モンスターと遭遇すれば逃げ惑う。 壁に手を当てればそこに隠し扉があったり、地下に続く階段を見つけたりします。 早く出口に着くなんてもったいない。 迷宮をとことん味わう。 それがモードレスのスタイルです。

執筆にはこの2つの文体がある。 どちらがいいとか悪いとかではありません。 「頭でわかりたい」なら迷路式で、「身体でわかりたい」なら迷宮式かな。 理解か体験か。 頭でわかってから身体でわかるのも良し、身体でわかってから頭でわかるのも良し。

迷路式は途中でつまずくと、むしろ迷路に迷い込み、出てこれなくなる問題がある。 そこが難しいところですね。 スモールステップで積み上げるから、「わからないところ」が出てしまうと篩から落とされる。 学校教育と同じで「落ちこぼれ」を作る構造になっています。 専門家の養成が目的なら仕方ない。

迷宮式は、迷宮を遊ぶのが目的です。 書き手の体験を読み手も追体験する。 なので書き手の「伝えたいこと」が伝わるとは限らない。 「伝わること」だけが伝わる。 読み手それぞれに「発見」があり、その「発見」はその読み手にとって必要なものとなっている。 「時期が合っている」というかな。 こちらは体験学習のイメージですね。

Obsidianを迷宮にする

フォルダ分けしたりタグを付けたりはモーダルです。 構造化する。 それも悪くない。

でもObsidianは迷宮作りに向いているんじゃないかなあ。 そう思うんです。 ノートの一つ一つが小部屋になっていて、それが繋がっている。

内部リンクで繋げるのが正道ですが、正道は「コントロール」が入るので隠し扉になりません。 そこでCopilotを使う。 「Relevant Notes」を隠し扉として活用します。

今まで書いたノートから関連ありそうなのがリストアップされる。 最近のバージョンアップで、ノートの内容を見ることができるようになりました。 これで昔のノートを読み直して、いま書いているノートの連想を広げる。

それと思いついたアイデアはThinoに書くようにしています。

Thinoのメニューから「COPY」を選ぶと、そのメモをコピペできる。 作業台として便利ですよね。 大まかなマップを書いて、筋を見失わないようにすることもあります。 ほんと、サイドテーブルみたいな使い方ができる。

Thinoに書き込むとき tasking を使っています。 自作のTemplaterアクション。

元はタスクをデイリーノートに書き込むものですが、ひらめいたアイデアを記録するのにも重宝します。 まずエディタ画面にメモして tasking 実行。 カーソル行がThinoに転送される。 空行のときは入力欄が出ます。 隙なくアイデアを捕捉する。

この2つが左右のサイドパネルにあることでObsidianが迷宮になります。

まとめ

あとは概念たちが踊り出すようにインスト曲をBGMで流す。 これも大事。


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